「アーサー王伝説」は、イギリスの先住民族ケルト人の伝説で、5~6世紀に形成され、さらに12世紀以降フランスやドイツなどにも伝わり、聖杯探究やトリスタンの物語などが追加されていった。
主軸となる物語は、アーサー王の配下である「円卓の騎士」の筆頭格であるランスロットと王妃グィネヴィアの不倫がキャメロット城における軋轢と確執を生み、最終的には、アーサー王とその息子であるモルドレッドの対決に発展する。
ランスロットと王妃グィネヴィアの不倫を巡る三角関係や親子対決の展開と共に、円卓の騎士達の個人的な活躍が描かれ、多くのバリエーションを持つため、中世以降、様々な作品のモチーフとして非常に好まれ、現代でもしばしば映画や漫画やゲーム等の題材となっている。
厳格で閉塞的な古いキリスト教の概念が道徳として機能していた時代背景でありながら、「アーサー王伝説」の登場人物達が一途に純粋に素直に命懸けで恋をするエピソードの数々は、道徳がいかに時代や国・地域に左右されようとも、人間が生きるための活力と真の幸福がなんであるかには、そう大きな変化がないことを教えてくれる。
元イギリス首相ウィンストン・チャーチルは言った。
「それは全て真実だ。もしくは、真実でなければならない。」
そんな「アーサー王伝説」を、主要な登場人物をピックアップし、それぞれの視点で物語を表現します。